カレシ


「ゆいお待たせ」

まきが戻ってきた。

「あ、まきまじありがと」

あたしはなるべく明るく言った。

「無理しなくていいよ、ゆい顔ひきつってるから」

ココアをあたしの前に置きながらまきが言う。

「なんかすいません」

ほんとに申し訳なかった。

「そんなことより、なんて言われたの?」

「うん…」


あたしはまきに良くんの言ってきたことを全て話した。

まきは途中口をはさむことなく最後まで聞いてくれた。

そして

「それってなんか、納得行かなくない?」

と、眉間にしわを寄せながら言ってきた。

「やっぱりなんかおかしいよね?!」

まきが同じ意見で安心した。

さっき一人で考えてたあたしの不安なことも全部話すと、

「ほんとそう!ゆいの気持ちも考えろよな。つかそのバイト先の女なんなわけ?弱みにつけこんでさ、彼氏も彼氏だよ。バイトの分際で人出のこと考える暇があったら、自分の惚れた女のこと考えろよ!まじむかつくから」

と更にヒートアップしてきたみたい。

あたしもだんだんイラついてきて、

「まじ意味わかんねーし」

を連発していた。