そして迎えた朝。

良くんからいつ連絡が来るのか、さっぱりわからないし、メールなのか電話なのかもわからない。

今日はケータイ手放せないな。

そう思いながら準備する。

何だかだんだんドキドキしてきた。

ケータイをチラチラ確認するけど、まだ連絡は来てない。


準備が済んでいつも通りのバスに乗る。

1ヶ月前と何も変わらない風景。

でもやっぱり今日も何か違ってみえた。


大学につくと、真っ先にまきがかけよってきた。

「おはよゆい、まだ?」

「おはよまき、まだだよ」

まきも相当ドキドキしてるみたい。

まるで自分のことのようにあたしのケータイを気にしている。

友達のことでこんなに本気になれる子なんて、そんなにいないよね。


「授業なんか聞いてらんないよね」

授業が始まってすぐまきが言う。

「あはっいっつも聞いてないくせによく言うよ」

「うっさいな~心配なの!」

ありがとっと言いながら、あたしはケータイを机の上に置いた。

二人してケータイを見つめる。
でもケータイが鳴る気配は全くない。


「やっぱもうどうでもいいのかなぁ、忘れてる可能性も大だし」

なんて言うと

「まだわかんないじゃん!」

とまきの方が躍起になっている。


結局お昼になってもあたしのケータイは鳴らなかった。


「してくるならしてくるで、早くしろよなあ」

まきがお昼のオムライスをつっつきながらむくれていた。

「まじでそーだよ」

あたしもため息をつく。


と、その時!

あたしのケータイのバイブが震えた。

二人してピキッと固まる。

あぁ…このライトの光り方は…

「良くんから電話だ…」


今か今かと待ち構えていたくせに、いざ連絡が来るとどうすればいいのかわからなくなる。

着信画面を見ながら固まっていると

「ちょっと!早く出なよゆい!」

まきの言葉にハッとして、ゴクンっとツバを飲むと通話ボタンを押した。