カレシ


「もう聞いてるこっちが恥ずかしくなるくらい、ゆいちゃんにハマってたよ(笑)」

顔が赤くなるのがわかって、あたしは下を向いた。

「あいつも恋すると、こんなになるんだなーって面白かったよ。彼女の時とは全然違う反応でさ。あいつがそんなだから俺、"声かけろよ"なんて言っちまった」

「最初はあいつ、ためらってたよ。自分には彼女もいるし、ゆいちゃんに彼氏がいねーかも分かんねーしな。だから実際ためらうあいつに、後押ししたのは俺だった」


ほんとごめんな、と謝るその人。

「いや…大丈夫ですから」


その人を責める気持ちなんてこれっぽっちもなかった。


「ほんとごめん…。でもな、ゆいちゃんとメールし出してから、あいつすげー楽しそうだったよ」

「毎日バイトに追われて、帰ったと思ったら好きでもねー奴に気ぃ使ってうんざりしてたあいつが、ほんとに楽しそうにゆいちゃんの話するんだもんな」


話してるこっちが照れるっつーの!なんて言いながらその人はケラケラ笑った。


「我慢出来なくなって、ゆいちゃんのこと傷つけちまったけどさ…あいつ、ゆいちゃんに本気で惚れてるから。それはゆいちゃんが、一番感じたことなんじゃねぇの?」


そう言ったその人は、優しい顔をしてあたしを見ていた。


確かに…そうかもしれない。
休みの日は彼女じゃなくて、あたしと過ごしてくれた恭くん。

夜からバイトなのに、わざわざあたしを送ってくれた恭くん。

遠い道のりを運転して、キレイな夜景を見せてくれた恭くん。

そして、甘いキスと幸せな気持ちをくれた恭くん…



あの態度がどうしても嘘だと思えなかったのは、あれが嘘じゃなかったからなんだ…

あたしのこと、ほんとに思ってくれてたんだ…