カレシ


「そんな時だったな、あいつが事故したのは」

あたしはその言葉に、ふと顔を上げてその人を見る。

「…事故って?」

「事故自体は大したことねぇんだけどな。あいつ、タチ悪い奴の車に、チャリで突っ込んじまって」

「チャリで…?」

「おう、夜中さガス欠だったらしくてバイト先にチャリで行ったみてーで」

「うん…」

「街灯ない所で、黒いセダンにドカーンだよ」


黒いセダン―…超怪しそうじゃん

「運悪く中に人乗っててさ、傷は大したことねーのに修理代50万請求されたってわけ」

その人はハァ―とため息をついている。

「それでどうなったの?」

あたしは何だか、気になって仕方なくて。

「脅されて警察にも言えねーでさあいつ。親にも言えなくて困ってたんだよ。その時に助けてくれたのが、彼女」