カレシ


恭くんを起こす前に、あたしはトイレに行って、その後タバコを吸った。



"絶対泣かない"



そう思うと、あたしは電気をつけた。


恭くんがまぶしいのか、寝返りをうつ。


のろのろと恭くんに近づくと、
あたしは恭くんを揺り起こした。






「ん…んっ?」

恭くんが目を開ける。

「どうした?」

とあたしに優しく微笑みかけた。


「あんね…あたし、帰りたいんだ…」


あたしがそう言うと、恭くんの顔から微笑みが消えた。

眉間にしわを寄せている。

「…なんで帰りたいん?」




あたしは覚悟を決めると、ゆっくりとさっき考えた言い訳を口にした。


「さっき、元カレから連絡がきて…寄り戻したいって言われてたんだよね」


震えそうになる声を必死に絞り出す。


「は…?寄り戻すんか?」


恭くんの言葉に、あたしはコクりとうなずいた。