カレシ


講義が終わるとあたし達は図書館の前で別れた。

まきは宏紀くんの車で帰るらしい。

今日は記念日なんだって。

宏紀くんは後1限講義があるから、図書館で待ってるらしい。

…うらやましいな


一人でバス停まで歩いていると、誰かに呼び止められた。

「あっ直樹くんじゃん!」

「オッス」

肩を並べてバス停に向かう。

「あれ?直樹くん講義は?」

「ん?どうせ今日はあいつと一緒に帰んねーしサボった」

「そっかー記念日だしねー」


話しながら歩いていると、あたしのケータイが鳴った。

昨日先輩からの着信に気づけなかったから、大学が終わったらすぐ、マナーを解除するようにしていた。

「ちょっとごめん」

直樹くんに断ってから電話に出る。

電話の相手は先輩。

さっき嘘をついてしまったから、なんとなく罪悪感がある。