時計とのにらめっこが続い
ている。

今日はまたとない重要な日
なのに、

目の前に映る現実は、明後
日までにマシンのトラブル
に対する対策の書かれたホ
ワイトボートだ。

手帳に対策を書き写しなが
ら、僕はもう一度時計を見
た。

予定した時刻を30分も越
えている。

今日は僕と会社の同僚で親
友でもある雅樹とアポをと
った大事な飲み会だ。

主催者である僕らが遅刻で
は、話しにならない。

会社の打ち合わせが終わっ
たときには予定時間を1時
間は越えていた。

取りあえず雅樹に先に待ち
合わせの飲み屋「檜木屋」
に行ってもらうことにした。


一方、僕は会社から自宅に
帰って行くだけで1時間は
かかる。

この調子だと雅樹が着くの
が21:30で僕は22:
00に着くだろう。

入口の扉を開けると、「い
らっしゃいませ。」と店員
の声が店内に響いた。それ
に続いて回りから「いらっ
しゃいませ。」と続いた。
檜木が並ぶ廊下を突き当た
りまで進み右に曲がるとカ
ウンターになっている。カ
ウンターの後ろの棚には様
々な焼酎や日本酒が整然と
並んでいて、常連のような
おじさんがカウンターの店
員と話しを交わしている。