「で?」



そらが、後ろにいるあたしの方へ首だけを向ける。



「何?」

「知って欲しいって、何を教えてくれんの」



そういえば…

『あたしのことも、少しでも、知ってもらいたい…』

そんなことを言って数日が経つ訳だけど



「…特に、考えてなかったわ」

「なんだよソレ」



ふん、と鼻で笑われた


いつも通りのはずなのに…

なんだか、今日は居心地が悪い。



「…じゃ」



なにか理由をつけて去るのも不自然だし、ただ短く別れのあいさつをして屋上を出る。

いつもは、どんなだったろう

あたし今までどうしてたのだろう

いつだったか、そらに気まずいとかないの?なんて聞かれたことがあったけど…

そうか、今が"気まずい"って言うのね。










「どうしたらいいのか、わからない」



こんなこと、聞いて解決することなのかわからないけど、早瀬さんに聞いてみた。

彼女、少なくともあたしよりは恋愛とか慣れてるみたいだし



「百合ちゃん、乙女~」



うふふと早瀬さんが笑う。



「馬鹿にしてるの?」

「してないよ~可愛いな、って思ってるの~」



早瀬さんは、他の女の子があたしに言わないようなことばかりを言う。

だからいつも反応に困る。

それにあたしからしてみれば、小さくて、ふわっとした早瀬さんのほうがよっぽどかわいらしいと思う。