「…とりあえず、開けるわよ」

「えっ、まっ…待ってよまだ心の準備が…!!!」



あたしは再び屋上のドアを開ける。

早瀬さんはなぜかアーアー言いながら自分の手で自分に目隠しをしている。

相変わらず、おかしな人…。



「で、女子同士の話終わった?
なんかちょこちょこ聞こえてたけど。」



そらが苦笑しながら、短いため息をつく。

あぁ…聞こえてたの。

まぁ、これから振られるってわかっているのだから、それはため息もつきたくなるわね。



「つーか月島サン、さっきのだけど…」

「そら、勘違いされたら困るから言っておくけど、あなたを好きって言うのは異性としてではないわ。
あなたみたいな面白いダジャレの一つも言えないキャラ、タイプじゃないもの」



………。

まぁ、




これであたしのこと関係なく、早瀬さんも素直な気持ちを伝えられるはず。



「…だろうと思ってたけど。」

「百合ちゃん…ダジャレ好き…!!?」



まぁ、"初恋は実らない"って何かで聞いたことがあるし

なかったことにしてもいいんじゃないだろうか。

どうせ、本当に好きだと言ってもそらの答えは変わらないのだから。



「そら、わたし…」

「あー、いいよ」



少しして、勇気を出してでた早瀬さんの声は、そらによってかき消された。



「俺、お前のこと何でもわかってるし
だから今俺が思ってること言葉にされると余計きついわ」

「ごめん…ごめんね」



しょんぼりとする早瀬さんに、

いつもと変わらない表情のそら

あたしは…あたしも、いつもと変わらないあたしのはず