「あたしは素直に言ったわ。
ねぇ、あたしは嫌わないから、素直に言ったら?今まで思ってたこと全部」

「月島さん…」



彼女が泣いたのを見たのは、初めてだった。

嫌なことがあってもへらへら笑っている早瀬さんが泣いている。

そして次々言葉を吐き出していくの。

いつものあたしならば面倒だと思うのだろうけど、不思議と嫌な気持ちはなかった。



「ねぇ、月島さん」



あたしのハンカチで鼻をかむ彼女に、さすがに苛立ちを覚えた頃、早瀬さんがあたしの名前を呼んだ。



「すごく、図々しいお願いなんだけど…」

「なに?」

「百合ちゃん、って
呼んでもいいかなぁ…?」



なによ、そんな事



「駄目に決まってるじゃない」

「なんでー!?」



早瀬さんの眉毛がぐんと下がる。

可笑しな人、そんな事で落ち込むなんて



「いいけど、あたしと友達になってくれるなら」

「えーなるなる!なるよっ!百合ちゃん!!」



ぎゅーっと早瀬さんがあたしに抱きつく



「重いんだけど、離れて」

「重いなんてひどーい!」



やっぱり、面倒かも。