「あ、あの
わたし見てたの冬木くんが」

「冬木くん?」

「えっ、月島さん冬木くんだよ、さっきの男の子!」



冬木くんって言うの、彼



「その、冬木くんがね
女の子達が月島さんの…その、ペンを捨てようとしてて、それで」



その冬木くんがそれを止めたって訳ね。



「女の子達が捨てようとしてたって言ってたら、月島さん傷つくんじゃないかなぁと思ってわざと落ちてたって言ったと思うんだよね」



…ふぅん。

別に、そんなあたしに彼がボールペンを返すまでの経緯を聞かされても。

彼女、早瀬さんは、もっと冬木くんに感謝をしろとでも言いたいの

そんなこと、無理。



「そんなのあたしは頼んでない」



ボールペンを取り返してとか

それを落ちてたって言ってって渡してとか

あたしは一言も頼んでない。



あー良いことしたって
結局は彼の自己満でしょう



一応拾ってくれた事に対して最低限のお礼は言ったのだから、それ以上の感謝はしない。



「悪いけど、あたしとあなたは違うの、誰にでもへらへら愛想振りまいて、良い人の振りなんて耐えられないの、それじゃ」



なぜだか彼女と話すと、イライラする。

きっとあたしとあまりにも違いすぎるから。