「祐太!」
『大丈夫。僕は平気。大気圏突入のシュミレーションもやっているから、きちんと美並を守るよ。』
「…頼りにしてる。」
心から。
『任せて!』
「宇治原、砲撃手は?」
「ダメだよ。まともに動けるのは、吉田君を含めて3人だって。」
吉田は無事か…これも、なんとか不幸中の幸いだな。
「通信、つないで。」
「はい。」
モニター越しに映る吉田の顔。
『美並、大丈夫なの?』
「まあな。それより、吉田以外の砲撃手を全員、右舷に回してくれ。左側から追いかける。」
『了解。』
「それと、主砲の威力計算…まだやったな。」
『うん。』
でも、実際に主砲の威力を計算するICIは壊滅状態。
ならば…。
「勘で調整してくれ。」
ヘタをしたら、月ごと消滅できる兵器を…
一瞬で地球丸ごと焼きつくす兵器を…。
どの程度の威力で撃てばいいのか、お前の裁量に任せる。
『それ、無茶ぶりって言うんだよ。』
「吉田なら、無茶ではないやろ?」
お前の成績は同じ砲撃科にいたから、よく分かってんだよ。
『まったく、成功したら、天才と呼んでくれたまえ。』
「失敗したら、うちらの命はないねん。」
吉田は、それもそうだねと、笑うと通信を切った。
よし、大丈夫だ。
あいつなら、なんとかしてくれる。
なら、最後は…。


