僕らの宇宙戦艦奮闘記



「山崎、大変なの!斉藤が倒れて意識がないのよ!ICI室のみんなも大勢倒れて、衛生室の人間も、まだこちらに来れないの!」


 佐倉の報告。


 その顔は、お願い助けてと全体の表情で言っている。


 ナンバー1である雄二が負傷。ナンバー2の美並がダメ。ナンバー3のカルラが動けない。


 そうなると、次に指揮権が回ってくるのは、ナンバー4に位置する、副司令佐々木。砲撃手リーダー吉田。そして、雅パイロット祐太の3人のうち誰か。


 しかし、全員、まともに指揮がとれるポジションではないことは分かっているはずのに、佐倉まで気が動転している証拠だ。


『雄二が?』


 祐太の言葉。それに呼応するように、他のクラスメイトからも通信が入る。


『え?斉藤倒れたのか?』


『だったら、艦長は誰がやるんだ?』


『大丈夫なの?』


「命に別状はありません。それより、美並さんがパニック状態に陥っていますの!」


 花子の叫び。


 この時、突然現れた救世主に、みんな錯覚していたのだと思う。


 祐太は、どこまで行っても祐太であり、たまたま都合よく現れたからと言って、救世主になりうることはない。


 雅の活動限度はたかが知れているし、祐太一人で、崩れた戦艦ホムラを立て直すなんて不可能なのだ。


 それでも花子は、祐太に期待をしてしまったからこその言葉だと思う。


 結果として、この発言は成功をもたらしたのだが。


『え、美並が?どうしたのさ、美並?お腹痛いの?緊張してるの?人という字を書いて飲み込むんだよ。入と書くと呪われるよ。あ、それより女装する?でも、美並は女の子だから、男装の方がいいかな?あ、そうだ。今度ナンパすればいいよ。そうすれば度胸がつくらしいから。』


 ・・・・・・・まったく、せっかく格好いいと思ったのに、コレだよ。


 本当に、祐太は・・・。