地面が揺れたと思ったら、上下が反転し、どちらが上か分からなくなった。
次の瞬間、頭を打って、気がついたら、白くてぼんやりした光が見えた。
天国なのかと思ったが、すぐにそれが艦内の照明だというコトが判明する。
「痛たたた・・・」
操舵手兼副艦長の美並楓は、頭をさすりながら、立ち上がる。
どうやら出血はしていないようだ。
おでこを触るとコブが出来ているのがわかった。
おばあちゃんいわく、たんこぶが出来ているということは、大丈夫だというコトらしい。
「みんな、無事か?」
とりあえず、現状を把握する。
ホムラは隕石の破片と衝突した。
「お…おぅ。艦内も俺もまったく異状なしだ。」
最初に声をあげていたのは、レーダー監視員の村山。
ぶつかった隕石の大きさはよくわからないが、それは言ってしまえば核弾頭にぶつかったと言っても過言ではないだろう。
それでいながら、この艦に損傷があるようには見えない。
宇宙戦艦という名前は伊達ではない。
人間の想像をはるかに凌駕する強度。
この結果を聞けば、研究者たちは喜んでホムラの強度計算のやり直しを始めることだろう。
だが、いくら戦艦が強度に作られているからといって、中の人間までそうであるとは行かない。
上下左右にシャッフルされ、天井や壁に否応なくぶつけられた身体は、あちこちで悲鳴を上げている。
骨折はしてないようだけど、打撲ぐらいは仕方ないだろう。
後に残らないことを祈るしかない。