「違う!こんなタイミングで都合よくデブリが飛んでくるものか!あのデブリは…」


 斉藤が良い終わる前に、デブリと隕石は衝突する。


 せつな、耳をつんざくような轟音があたりを襲う。


「隕石、割れますわ!」


 花子の報告。


「冗談!」


 佐倉が叫んだ。


「罠か!」


 してやられた!


 やっぱり、多少のロスを覚悟の上で祐太を回収すべきだった。


 デブリとぶつかり、隕石の3分の1が割れる。


 片方は地球の重力に引かれ、そのまま落下コースへ。


 もうひとつは、割れた衝撃にあおられ、こちらにまっすぐ飛んでくる。


「美並!」


 よけろ!


「言われるまでもない!」


 必死に舵輪を回す美並…。


 しかし…。


「ま…に合わない?」


 佐倉の声。


 そんなことは、分かってる!


「対ショック防御!みんな、伏せろ!!」


 戦艦ホムラ、隕石と衝突。


 指示が遅れたとは思えない。


 敵の方が上手だったのだ。


 そう思いたい…そう思わなければ…。


「斉藤!!」


 耳をつんざくような轟音と、上下が揺れる感覚。


 後頭部を強く打ち、薄れゆく意識の中で、誰かの声が、遠くで響いた気がした。