「右舷、後方こちらに迫る反応あり!」


 佐倉の言葉に斉藤があきれていると、突然、村山から怒声が飛んだ。


 後方?


 地球側…から?


「デブリだ!よけろ!」


 自分より、村山の指示の方が早かった。


「くっ!」


 美並は、反射的に操舵輪を回す。


「うわぁあああ。」


 慣性の法則によって、左に振られる身体。


 無理な動きだったのだ。


 ガンッという音が、艦橋にも響いた。


「こすった!」


 美並が叫ぶ。


「被害状況は?」


 まだ、宇宙空間、些細な傷すら命取りだぞ。


「そんなこと、後にしろ!今の衝撃で、デブリ軌道修正…隕石にぶつかるぞ!」


 村山が再度叫ぶ。


「大丈夫よ。デブリ程度が当たったぐらいで、隕石はビクともしないわ。」


 一般的に見れば、佐倉の意見が正しいだろう。


 でも、今回は村山の報告の方が正解。


 デブリをよけるのではなく、撃ち落とすべきだったな。村山。


 まぁ、指示が遅れた俺の言うことではないが。