「・・・・・・・・・・で?」


 臨戦モード移行の間に雅を回収しておくべきだったと後悔したのは、山中…もとい、変態の報告を聞いた後だった。


 どちらにしても、作戦時間中に雅の回収なんてできるわけなかったのだが。


「直径6キロメートル。予想される、大気圏内の消滅率3.6%危険レベルはA、落下予想時刻は今から2時間。場所はアフリカ大陸あたり…現状でわかるのは、ここまで。」


 山中…もとい、変態の淡々とした説明に、雄二から、冷や汗が流れる。


「さ・・・斉藤・・・。」


 美並が引きつった顔をこちらに向けてくる。


 美並だけじゃない。


 花子、佐倉、宇治原君、村山、カルラ、それにICI室のみんなも、全員雄二に目線を向けている。


 分かってるよ。それが、艦長の役目だろ。


 くそっ


「スクランブルだー!!!」


 雄二の怒声がこだました。


「了解ですわ!総員スクランブル!」


 花子によって緊急ボタンが押される。


 途端に、艦内に流れ出すサイレン。


「総員、スクランブル発動!非戦闘員は安全区域に、戦闘員は所定位置に移動してください。繰り返します。スクランブル発動!」


 宇治原君が艦内アナウンスを音量最大にして叫ぶ。


『え?何事?』


『どうした?』


『斉藤、何があったの?』


 そんなコトがあれば、艦橋に通信が次々と入ってくるのは仕方ない。


 だが、そんなコトしている場合ではない。


「隕石を発見した。どうやら地球に落下するらしい。危険レベルA。これから、ホムラは隕石の破壊に向かう。総員、配置につけ!コレは演習ではない、繰り返す、コレは演習ではない!」


 まさか、冗談ではなくこんなセリフを吐くことがあるなんて・・・。