「ワイヤー接続完了よし、雅でるよ~」


『おぅ、プッ・・・気を・・・ププッ・・・つけてな・・・。』


 よし、とりあえず、後で雄二を殺そう。


 祐太はコックピットの中で熱い決意を固めると、雅をホムラから発進させる。


 最初はコックピットの中で人という文字を書いて飲み込んでは「あぁ、入って書いちゃったよ!呪われるよ!呪いの解き方とか知らないよ~」と、パニック状態だったが、艦内に噂が広まると、コックピットの通信モニターが次々と開き・・・


「あ、本当に女装している。」


「やだ、可愛い~。」


「ねぇ、山崎後で写真撮らせて写真。」


「・・・祐太、お似合い。」


「すげぇ~本当に女装しているよ!」


「山崎、絶対、その道進んだほうが良いって、すっごい綺麗じゃん!」


「なぁ・・・山崎・・・俺、その、前からお前のことを・・・」


 などと、次々と通信が入って来てしまい、結局緊張するどころの余裕すらなくなってしまったのだ。


 ちなみに、最後の通信相手である山中君には、あとでクラス全員に逐一報告することに決定した。


 結果として、美並の祐太アガリ症克服作戦は成功したのである。


「それにしても、宇宙かぁ~」


 艦内メンバーの中で唯一、無重力を味わいながら祐太はかみ締める。


 かつて、人類が憧れ、そしてその憧れをまだ持ち続けている広大な空間。


 そこは人類未開の地として、数十億年前からその姿を変えることなくそこに存在している。


 そんな空間に放り出されもしたら、ちょっと感慨深くもなってしまうものだ。