「いい、見世物だぜ。」


 斉藤雄二は、ホムラの艦橋。その中でも一段と高い『艦長席』に腰掛けながら、ため息をついた。


 クワガタ型をしている戦艦ホムラ。


 その艦橋はクワガタ型のハサミとハサミの間に存在している。


 地球上の戦艦と違い、宇宙での運用を想定されているこの戦艦は、海の上のように見晴らしのいい、艦橋構造物を作る必要はなく、代わりに、上下左右すべてが見渡せる場所が必要なのだ。


 艦橋にいるメンバーは、艦長、雄二を含めて、オペレター二人に、操舵手一人、司令官一人と航法長一人と見張り(レーダー監視員)一人…の7人。


 他の戦艦に比べるとその数は圧倒的に少ない。


 それもそのはずだ。


 この戦艦は、『動かす』だけならば、最低8人で航行可能だ。


「ええやないの?さっきまで知らん大人たちに囲まれて、インタビューまでされおって、なぁ、なんて答えたん?」


 彼の目の前には、舵輪を握る美並の姿がある。


 ここからだと、ポニーテールがフリフリ動いて、まるで小動物のようだ。