「あらあら、みなさん、地味なイメチェンですこと。私は今日この日を待ちわびたことはなくてよ。」


 あ~、うるさいのが来た。


 って、なんだその格好は!!


「花子、化粧は先生に怒られるぞ。」


 雄二の言葉。


 花子の恰好は校則やぶりも良いほどにスカートは短く、肌にはファンデーション真っ赤な唇にアイラインも惹かれているのがよく分かる。


 というより、この香りは中学生の香りじゃないよね…。


「あと、香水もやめたほうがいいと思う。筋肉先生、そういうところうるさいよ。」


「うっ!二人とも男性だから分からないのですわ!この全国マスコミが注目する晴れ舞台で、スッピン顔をさらすなんて、レディとして許せませんわ。」


「・・・・・映るって言っても、オペレーターなんて一瞬じゃん。」


「何か言いまして?」


「いいえ、何も・・・。」


「・・・・・・・一瞬でも映るだけマシ・・・。」


 カルラさん、映りたいなら、まずその薄キャラから変えていこうよ。


「お~い、みんな席につけ。出席を取るぞ。」


 教室の扉が開き、神林・・・もとい筋肉先生が教卓を叩く。


 いつもジャージ姿の筋肉先生まで、今日は背広なんぞ着て、こちらから言わせれば、違和感バリバリだ。


「先生!うちら三時間目まで待てません!」


 再び、元気よく手を挙げる美並


「美並、お前のそういう元気がいいところは先生好きだが、ルールは守ろうな。」


 戦艦ホムラの進水式は毎年、始業式があった次の日の三時間目である。


 2年Sクラスは、『特権階級クラス』と呼ばれているが、結局のところ普通の中学2年生と変わらない授業内容を行わなければならないため、このように、平日の昼間に艦を動かすことになると、どこか補習が入る。


 土日だって返上されることはあるし、夏休みを削られることだってある。


 必ずしも『恵まれたクラス』というわけではない。


 戦艦を動かす代わりに、リスクも背負っちゃうのだ。