『お前も、気がつかなかったのかよ。』


 やれやれとため息をつく、雄二艦長。


『どういうこと?』


 佐倉さんの質問。


『バリアは雅に対してだけは、無効だったんだよ。』


 答えたのは吉田君。


『バリア持っている戦艦が、弾幕張ったり、小型戦闘機出したりするのは、あまりにおかしいだろう?俺でもバリアが張れるのなら、もっと有効な手段を考える。』


『しかも、弾幕も小型戦闘機も全部、雅狙いやったしな。これで気がつかない方が、どうかしてるで。』


 雄二と美並がそんなことを言ってくるが…。


「あくまで可能性の話だったのだけどね。」


 向こうが雅を狙っていたからと言って、雅がバリア無効の効果があった確証があったわけではない。


 ただ単に、向こうは戦艦を落とすよりも、雅の方が撃ち落としやすそうだったから狙った…もしくはタダの、ブラフという可能性もあったのだ。


『…だったら、もしかしてタダの運でしたの?』


「そだよ。」


 何をいまさら。


『まぁ、結果オーライと言ったところだな。』


 ハハハ…と笑う雄二だが、この賭けに負けていたら、当然僕たちは全滅をしていただろう。


 だが、実戦なんて、そんなものだ。


 ちょっとしたことで、生と死を分ける。


 今日はたまたま運が良かったのだ。


「朝の占い、乙女座が1位で助かったよ。」


 と、祐太。


『獅子座は最下位だったんだけどな。』


 と雄二。


『二人とも、一日しか誕生日違わんのに、よう言うわ。』


 美並がやれやれと言いながら、まとめた。


『はぁ…。まったくあなたたちは…。』


 花子のため息が大きく響く。


 それは本気の安堵のため息。