「だったら、すぐにうちらも…。」


 追いかけないと…。


「この負傷者を抱えてか?」


 あ…。


 斉藤の言うとおりだ。


 というより、斉藤自身が負傷者なのだ。


 頭に巻いてある包帯からにじみ出いている赤いシミ。


 先ほどより、大きくなったのが分かる。


 出血が止まらないのだ。


 ICI室のことだって、人数不足で、一人しかこれなかった医療班チームも気になる。


「祐太に至急戻るように、連絡を。危険や!ここは逃げるで!」


 美並の指示は早かった。


「了解、山崎!」


 宇治原君の叫ぶような声が響くが…。


『聞こえてるよ!でも、そんなんじゃないんだ。すでに標準はこちらに入っている。僕がひきつけるから、早く、美並たちは非難を!』


 何を言うとる、祐太?


「ピーチダック、5機全速反転。雅の援護に向かいます。」


「了解。」


 真っ先に動いたのは、カルラと佐々木。


「カルラ!?佐々木?」


「…ホムラは頑張った。」


「俺たちも頑張らないと…。」


 何言うとる?


 あんたらだって、頑張ったやろ?


 たった二人で、よううちらを守り続けてくれていたのに、何言うとる?


 それに、佐々木、あんた右腕が痛んでるって…ヘタしたら骨が折れてるか、ヒビが入っているのかも知れんのやぞ…。


「あぁ、もう!」


 斉藤が吠えた。