「斉藤、まだ動いちゃダメ。あんたが一番重症なんだから!」
佐倉からの声が飛ぶが…。
「分かってるけど、じっとしていられるか、村山、いいからさらにスピード上げろ。」
艦橋の隅から、必死に上体だけ起こして、指示を出す。
「ちょっと、斉藤さん、何言ってらっしゃるの!止まれなくなったら、洒落じゃすまされませんよ。」
「分かってるよ。そのための雅だろ?」
『え?僕?』
言われて、キョトンとした顔を浮かべる祐太。
・・・・・・・まさか・・・。
「斉藤・・・もしかして・・・大雪山か?」
美並の背中につめたい汗が流れたのが分かった。
大雪山。
それは、祐太、雄二、美並、カルラにしか分からない名前。
「そういうこと。現状で有効な手段と言ったら、それぐらいだからな。」
『じょ・・・冗談だろ?大雪山なんて!』
祐太が驚くのも無理はない。
そんなコトできるものかよ?
「なんですの?大雪山って?」
花子が聞いてくる。
「さぁ、私もさっぱり・・・。」
そりゃ、佐倉が知るわけがないだろう。
「大雪山は、ようはゲーム中の技で・・・簡単に言うなら・・・」
美並がここまで口にして…。
「…戦艦投げ。」
カルラがまとめた。
「な?」
「ん?」
「で?」
「す?」
「ト?」
美並、花子、宇治原君、村山、佐々木君が次々と声をあげて。
「「「「えぇ~!!!!」」」」
通信モニター越しに、クラス全員の声がこだました。


