「雅から通信。」


「つなげ。」


 こっちは、先ほどと違い、重要な情報だ。


『隕石損傷率20%・・・こうなったら、僕が直接とりついて、破壊するしかないかな?』


 なっ…なんてことを?


 隕石のスピードは音速を軽く超えて、もう数分で地球と衝突するんだぞ。


 いや…でも、祐太と同じ雅操縦の授業を受けていた、斉藤ならやってみろというかもしれないな。


 事実、シュミレーションの成績だけなら、祐太の腕は天才的だという話だし…。


「ダメ。」


 しかし、悩んでいる美並にカルラからストップがかかった。


『でも…』


「あの隕石は普通じゃない。ただの隕石なら、祐太でも問題ないけど、近づいたら何が起こるか分からない。」


 なるほど。ありがとうカルラ。


「そういうことや。ここは遠距離からの破壊がベストや。大丈夫、間に合わせる。」


 クソ。まだや。まだ出るはずやろ!


「村山!」


 美並が叫ぶ。


「あげてるよ!最大速度だ!」


 やっぱり、私が操舵輪を握った方が…いや、さすがに艦長と操舵手の兼任は荷が重すぎる。


 カルラの言うとおり、あの隕石は普通じゃないんだ。


 何が起こるか分からない状況で、そんな危険なことをすべきじゃない。


「美並さん、これ以上スピード上げると、止まれなくなりますわよ!」


 花子が叫ぶ。


 でも、これ以上スピードを上げないと・・・。


「いや、行けるだろ。」


 そのとき、意外なところから声が聞こえた。


 顔を向けると、そこには…。


「斉藤!」


『雄二!』


 艦橋の隅で、佐倉からの応急手当てを受けた後の、斉藤雄二の姿があった。


 頭に巻かれている包帯から、血がにじんでいるのが痛々しい。