戦艦ホムラ大気圏突入。
もっとも、ホムラには重力発生装置がついているため、摩擦熱が発生せず、前方を行く隕石のように、赤い熱の尾を引くようなことは起こらない。
「残り距離8000!」
宇治原君の声が飛ぶ。
彼には申し訳ないが、レーダー管理と、オペレーター二つの役職を兼任してもらうことにした。
途中、医療班チームは到着したものの、どこもかしこも人数不足で艦橋までこれたのは、富所さんと言う、ちょっとぽっちゃりした女の子一人だけ。
とても、斉藤やICIチーム全員の治療まで回れない。
引き続き、佐倉には、医療班チームと一緒に応急処置に回ってもらうことにして、宇治原君一人に前線で頑張ってもらうしかない。
大変なのは、言うまでもないが、『山崎には劣るけど、これぐらいのかっこよさは見せないとね。』と宇治原君が言っていたので、それを信用しよう。
「まだまだぁ!」
ホムラ、さらに加速。
地球の重力も利用して、さらにスピードを上げる。
「あまり、あげすぎると、止まれなくなって地面と衝突するぞ。」
村山の言葉は聞こえているが、そこまで気にしている余裕は今はない。
「残り、2000・・・お、おい美並・・・」
隕石ではなく、ホムラのことだろう。
確かに、重力にひかれマッハに届くスピードで落下する隕石に追いつくなんて、正気の沙汰ではない。
「吉田君、カルラ、祐太!弾幕開始!」
『了解』
「分かった。」
『任せて。』
戦艦砲台。ピーチダック。そして、雅。
隕石とすれ違い、追い越し始めたところから、全部で9台の砲門で、一斉にミサイルとビームが照射される。
ただし、雅もホムラも主砲だけは使えない。
距離が近すぎるのだ。
コレでは、隕石に穴はあけられるかもしれないが、破壊までは至らない。
距離が必要だ。
安全で、確実に壊せるところまで離れる必要がある。
強力すぎる武器というのも、万能ではないのだ。