Linaria【極短】



「あっ忘れてた」

しまったばかりの扉が開き、先輩がちょっと顔をのぞかせる。


「へ?」


「ちょっとお前荷物持ち手伝え」


ちょいちょいと手を振られる。急いでそちらに向かう。


「下まで荷物持ち。めーれいっ」

そう言って手渡された小さな紙袋。


「はいはい文句はききませーん」

そう言ってスタスタと前を行く先輩の後を急いでついて行く。

いつもは賑やかな先輩は静かで。

私は私で口を開いたら泣きそうで。


最後に与えられたチャンスはまたも無意味に過ぎていく。