「それはどういう事かね?」

確信に満ちた達郎の物言いに、警部は身を乗り出した。

「それを説明する前に…警部、出身はどちらですか?」

「私か?私は金沢だが」

「それはちょうど良かった」

「ちょうど良かった?」

「電車で帰省したことはありますか」

訝しがる岸警部に、達郎は質問を続ける。

「何回かあるよ」

「電車は何を?」

「米原まで新幹線で、そこから先は特急【しらさぎ】に乗ったな」

「切符はどのように購入しましたか」

「どのようにって…まずは東京‐米原間を買って…」

「警部、その買い方は×です」

『え?』

警部とあたしの声が重なった。

「東京‐米原間を購入した後に、米原‐金沢間を購入すると大変な損になるんです」

「どどどどういう事かねそれは!?」

あたしも警部と同じ事を思った。

「警部『ど』が多すぎです」

いや、そこツッコむとこじゃないから。

達郎はホワイトボードに【乗り継ぎ割引き】と書いた。