呪いのテディベア Ⅱ


「では、」

ダンボール箱を運び終わった彼は
玄関で深くお辞儀をして出て行った。

『良い人』だったなって思う。

世の中、
あんな人でいっぱいだったらなと、
心底思う。

でも、そんな事を思っていても、
今の彼は、
本当の彼ではない。

彼の本性では、ない。

さっきの彼の微笑みも、優しさも、
全ては仕事上の、サービス。

あたしに向けられた親切でも
なんでもないのだ。