『それも、演技なの?』
思わず零した言葉に、彼は顔をしかめる。
『わかんな、い。 どれが本、当かわか、んないよ』
「俺は、一回も春陽の前で演技をしたことなんてない」
トーンが低くなった声に、彼女はハッとする。
あたし、今・・ひどいことを・・・。
「そんなに、信用されてないんだ」
『っ、』
彼を、信じよう って決めたのに。
『いっ・・!?』
突然 首筋に微かな痛みが走る。
「強引に連れてきたり、 逃げないように ここに印つけたり」
彼の冷たい手が、キスマークをつけられた所に触れる。
「こんな卑怯なことするの、春陽にだけなんだよ」
悲しみを帯びたその瞳に、心が痛む。


