「一番目は?」
なんで、そんな事をあたしに言わせるのだろうか。
二番目の女にもなれないのに、
一番目の女の人なんて嫌いなのに、なんで言わせるの。
『綾、さん』
あのモデルさんが、嫌いでしょうがない。
あたしは高校生だから、遊ばれてもしょうがないと思ったけど
やっぱりあの人の事が憎い。
「春陽、違うんだ」
『なにが、違、うの』
泣きすぎて、もう上手く喋れない。
「俺は本当に、彼女とは何にもない」
『でも、ドタ、キャン・・したくせ、に』
「違う。 今日はちゃんとデートするって決めてた。 でも、行こうとした時に彼女が来て、だから電話で“遅れるから、待ってて”って言うつもりだった」
『でもそんな感じじゃなかった! それに、なんで家に・・・』
「春陽、信じて。 本当に、なんにもないんだ」
( 信じて )
弱弱しく言うその言葉が心に突き刺さって、つい言い返すのをやめてしまう。
彼は俳優で、
その困っている表情も、演技かもしれないのに。


