『え、と・・』
「いえよ」
普段とは全然違う彼の口調に、あたしはどうすることも出来なかった。
『こ、公園』
「どこの」
『わか、んない』
「そこで待ってろ。 どこにも行くなよ」
そう言ってはプーッと電子音だけしか聞こえなくなる。
ここに、来るの? まさかね。
場所すら分からないのに、来るわけないよね。
来て欲しい気持ちと、来て欲しくない気持ちが混ざりながら、あたしはブランコに座ったまま俯き続ける。
辺りは暗くなり、人気のなかった公園はさらに寂しくなる。
涙がまた目に溜まったその時、一台の車が公園の入り口に止まる。
「やっと見つけた」
『っ、』
ほんとに、来ちゃった。
すぐさまブランコから立ち上がり、後ずさりしていく。
「逃がさない」
『やっ! 放してっ。 あたし、帰るの!』
「こんな暗いのに、一人で帰らせる訳ないだろ。 俺が送る」
強引にあたしを抱き上げては、車に乗せる。
そして彼も運転席に乗り、静かに車を運転し始めた。
彼の家に着くまでずっと、無言だった。
いや、彼からはイヤでも不機嫌だというオーラが出ていて、話しかけるなんて到底出来そうになかった。
『っ、!』
部屋に入るなり、強引にベッドへ押された。
「なんで電話もメールも無視したわけ」
『き、気付かなくて』
「かなり捜したんだけど」
『ご、ごめんなさっ・・・んんっ』
強引な口付けをし、
「次こんなことあったら、俺の部屋に閉じ込めるから」
真っ直ぐなその鋭い眼差しで言われる。


