「大丈夫? 、なわけないか。 顔こわいよ」
『どんな顔してるかわかんないし』
「その声のトーンも低いし。 怒ってるねぇ」
楽しかったはずのお昼休みは一変、最悪な昼休みになり、放課後になっても気分は直りそうにない。
今じゃみんながあの記事の話をしてるし。
「まさか春陽、あれが本当だと思ってんの?」
『思って、ないけど』
思いたくもないけど、でも気になってしかたない。
「あんまり深く考えないほうがいいよ。 きっと一葵さんから連絡くるよ」
『こないと思うよ。 最近ずっと、メールも電話もこないし。 あたしが一方的にその日の出来事とかメールで送ってるだけだし』
そのメールの返事すらこないし。
「はぁ。 いつからそんなネガティブな子になったの」
『仕方ないじゃん。 期待したら余計、傷つくのは自分なんだよ。 それなら期待しないほうがさ、“やっぱりね” って思うだけで済むし』
なんか、自分で言っといて哀れに思えてきたよ。
「ヘコまないの。 ほら、駅ついたよ。 なにかあったら連絡していいからね?」
『うん、ありがとう。 じゃ、またね』
一人電車を降りて人込みの中を歩いてく。
まわりにたくさん人はいるんだけど、何故かとても孤独で、涙が出そうになった。
一葵に会いたい。
でも、会えない。
むやみに会いに行っても、写真を撮られたらダメだから、行けない。
人気上昇中なのに、邪魔しちゃいけない。
『なんで、付き合ってるのに・・・』
周りに左右されながら付き合うのなんか、やだよ。


