喫茶店に入って暫くすると
望月がやって来た。

席を立って望月を向かえると

「どうぞお座りください」

黒いパンツスーツ姿の落ち着いた
服装の望月だ！

「お電話を、頂ければ

お迎えに来ましたのに」

「いえ!いえ！お忙しいのに

突然参りまして申し訳ありません」

ウェートレスが望月の注文をとりに来た。

「直ぐに、出ますから」

そう言って、千裟の父を誘い店を
出て行った。

望月の横に並んで事務所に
２人は向かった。

虎ノ門の近くの１２階のビルに
望月は千裟の父を案内した。

虎ノ門は国会議事堂や官庁街に近く
その為か政治家の事務所も多い。

このビルの中にも有名な政治家の
事務所がいくつも在る。

４階の奥の事務所に望月は千裟の
父を通した。

中には、二人の男が机を並べて
パソコンで何か作業をしている。

部屋の左の来客室のドアを開けて
ソファに千裟の父を座らせた。

望月は自ら、急須に茶葉を入れ
お茶を千裟の父に出した。

「狭い事務所でしょう？」

「立地が良いですから」

「そうなんです。この辺では

この広さが標準なんですよ」

そう言って望月は、
黒のハンドバックから名刺を出し

「実は、わたくし、こんな事も

やっているんです」

名刺には！

　民自党　衆議院　大竹　清次郎

　　第一秘書　望月　瑞樹

多分、不安になって事務所を
尋ねてきた千裟の父を安心させる為
見せたのだろう。