「本当に私に申し訳ないと思っているならば、本当に藤市さんに感謝をしているならば、舞って当然です。
雪さんもきっとそれを望んでいる筈です。雪さんだけではありません。
他の亡くなられた、貴方のご家族も」


何百年も踊っていない永は舞う事を躊躇った。それがみずきの望みであっても。

だが何時までも枯れ木のままこの森を腐らせる訳にもいかず、


「お前らの為じゃない。この森の為だ。下手でも笑うなよ」


そう言って立ち上がり、青空を見上げてから永は踊り出した。

くるりと回り、ふわりと舞う着物。その姿はまるで地に降りた天女のようだった。

その妖艶で艶やかな舞は、みずきの心を鷲掴みにした。

みずきは目を離さずに、じっと永だけを見つめていた。