(KS)Brand new cherry.

永の身体は徐々に赤く染まって行き、

大勢いた男達も切られたか怖気づいて逃げたかしてその数は減って行き、残ったのは雪の父親だけであった。


「流石化け物だな」

「人間は勘違いをするから困る。俺は人を食わない」

「その根拠は何処にもないだろう」

「まあ、そうだが。俺を殺すなら、俺はお前を殺す。それだけだ」


包丁を構える永と、刀を構える雪の父親。どちらも雪の叫び声は届いていない様子だ。

雪にとってどちらも死んでほしくはない存在。

愛しい恋人と、愛しい父親。何故今は物を向け合っているのか。

雪は咄嗟に、二人の間に入ろうと駆けだした。

自分が間に入れば二人とも刃物を下げるだろうと思ったからである。

だがその雪の考えは儚く散って行った。