両手でも足りない

その、意地悪のせいで…。

あたしはずっと避けられてきたのかと思ったら、バカバカしくなってくる。


不意に海斗が消えていったはずのドアが勢いよく開けられて、もの凄い形相で駆け寄ってくる海斗は。

あたしの隣に並ぶと、トモくんを押しやって。


「どっか出かけんだろ!?早く行けよっ!」

そう言い放つ。


「やばっ、デートに遅れる」

時計を気にするトモくんは、あたしの耳元でこう囁いた。


「海斗なりの、焼き餅ってヤツ?」

海斗の方を向くとニヤリと笑い、足早に駅の方向へ歩き出した。


「ったく、あのヤロー。…マジ、ムカつくっ!」

地面を蹴る海斗も、海斗をイジメるトモくんも。


あたしはどっちもどっちだと思ったことは内緒にしておこう。