彼女から電話が来たと言って、トモくんに追い出されたあたしはトボトボ玄関を出た。

トモくんの家を出るとそこには、自転車にまたがった海斗が走ってきていた。


う…。

まだ告白もしてないのに…、、なんだか気まずい…。

あたしに気付いたのかゆっくりと近づいてきて、目の前で止まる。

いつもなら無視して通り過ぎるところなのに、どういうこと?

きょとんとしているあたしに。


「チビ、乗れ」

相変わらずの口調で、思いもしないことを投げつけられて瞬きを繰り返す。


「へ?乗れ…?」

乗れって?なに?どこに!?


戸惑うしかできないでいると、面倒くさそうな表情を見せて、後ろを指した。


「早く乗れって」

「え…、二人乗りってこと?ダメだよ!怒られるじゃん」

散々小学校の頃、海斗と二人乗りして怒られてきたあたしは、中学生になってまで怒られたくなかった。


「…は?誰にだよ?」

海斗は機嫌悪そうに眉を顰める。


「おまわりさんじゃん」

わかりきったことを聞かれたあたしは、堂々と答えた。