はぁ。と深くタメ息をつき、課長はしっかりと私の目を見て、

「ごめん。このリングは....フェイク。昔ダチに言われて、女除けに。あ゛ぁ~..この女除けのリングで好きな女まで誤解させてたとは......オレ最低だ....」


そう言って、課長は頭を押さえて椅子に座りこんでしまった。


....えっ?

今...好きな女って言った....?

聞き間違いじゃ....ないよね.....?


「い...今、....好きな女って....」


私が唖然とした面持ちで問いかけると、不安そうに、でもまっすぐと私の瞳を見て。



「お前以外に誰がいるんだよ、綾。」



どうしよう....。

さっきまでは、不安で悲しくて泣きそうだったのに....

今は違った意味で泣きそう.....




涙が流れないように、下唇を噛みしめて俯く。