ほぁ?


今から…?


「場所による…かな」


と考えて答える。


「んっと…駅前なんだけど。 ムリか…「いいから魅夜、来て!!」


紫葡の声を途中で遮って聞こえてきた亜鶴の声。


亜鶴も一緒にいるのか…。


それに駅前なら…。


「分かった。 じゃあ…10分くらいで行くから待ってて」


それだけ言い紫葡や亜鶴の返事を聞かずに切った。


10分後…。


カフェについたあたし。


亜鶴と紫葡の姿を探す。


キョロキョロしていると後ろから…


「誰を探してんの?」


と聞きたくて、会いたかった…愛しい人の声が聞こえたと同時に抱きしめられた。


変わらない稜の香りに低くて掠れた甘い、耳元で囁く声。


背後から回された腕に顔を擦り寄せてみる。


心地好い鼓動が響く。


暑い夏だということもすっかり忘れ、抱きしめられていた。


気付いたのは周りからの痛いほど突き刺さる視線。


そりゃそうだ。


こんな公共の場でしかも暑いのに抱きしめあって甘い雰囲気を出しているのだから。


稜の登場でキレイに忘れてたけど…


亜鶴と紫葡のこと…。