何故嫌いなヒトと一緒に食事をしているんだろう。


そんな思いがずっと柚音の心で深い渦を巻いていた。


もやもやしたまま、食事を進める。


その間、どちらも何も言わずにもくもくと口を動かしていた。

お腹が空いていたはずなのに、何故かあまり食べることが出来ない。


カチャン、とスプーンを置くと、柚音は椅子から立ち上がり何も言わずに部屋に戻ろうとした。


「待って柚音!」


未亜が思い詰めたように柚音を引き止めた。


「何も話すこと何てない。」


柚音はなるべく、冷たい声でそう言った。


自分の未亜に対する思いを伝えるにはこれが一番有効だと思ったのだ。


「あ、あのね、お母さん…仕事辞めたから。」


あまりにも突然の爆弾発言に、一瞬頭が真っ白になった。