槇・・・

どうして、この家を
出て行くこと

あなたは
何も話してくれなかったの?

鏡台の椅子に座り
鏡に映る自分の姿を見つめる

腫れた瞼に、真赤な瞳

不細工な私・・・

私は、鏡を布で隠す。

槇が、自分の部屋のドアノブに
手を掛けた時、開いたままの
櫂の部屋から聞こえる声。

「マキ
 サクラに振られたの?」

部屋から覗く櫂の、悪戯な微笑

「うるせえよ」

怒った槇を手招く、櫂。

「何か、話あるんだろう?
 聞いてやる」