走る・・・

走って辿り着いた先には
花の無い、庭桜が
佇んでいた。

私は、カノジョ(庭桜)
の前で、声を出さずに
涙を流す。

土の上に膝を付いて
カノジョに触れる。

内緒話をするように
唇を寄せて想いを
告げる。

「マキが言うの?
 
 オリグチさん
 彼女を
 守ってやりたいって
 ・・・・・・」

胸の中の苦しい想いを
私は、吐き出す。

「こんなに
 マキが好きなのに

 好きで好きで
 堪らないのに

 ・・・・・」