「逃げて下さい! 失敗を知った軍勢が来ます!」 「サキ、俺はお前に逢えて良かった。サキ、後悔しているか? 俺と出逢ったことを」 「いいえ。私は感謝しております」 「何故だ? お前を酷い目に合わせたのは『私』なのに?」 「恋することは……エゴでも、あなた様を悲しませ私も悲しくとも……しあわせでした。あなた様はそれを教えて下さったから」 「お前は罰を受けずとも良い」 「ケルビム様!」 「目を閉じるんだ。サキ。決して開いてはいけないよ」 サキは頷いた。 長いまつげが伏せられる。