大迫と離れて歩きたかったけど行く場所が同じなので仕方ない。

黙々と歩く私に大迫が念を押す。

「カノジョのふりは誰にも内緒だぞ。バレたら何の意味もないんだからな」

「……涼子にも？」

涼子は私が大迫を嫌ってるのを知ってるから無駄だと思うけど。

「一応な。じゃあちゃんとやれよ、香奈」

ゾワッと鳥肌が立ったけど、それを振り払うように首を振って教室に入った。

「香奈」

涼子に腕を引っ張られる。

「あっ、おはよー」

「おはよじゃないよ。騒ぎになってるよ」

だよねぇ…。
わかってはいてもどうしようもない私は、とりあえず笑ってごまかした。

「一体どういう心境の変化？」

予想通りの質問だぁ！
上手く答えなくちゃ…。

「えー…、嫌い嫌いも好きの内…？」

横でブッと吹き出す音が聞こえたので振り向くと大迫がバカ笑いしてる。

あんたねー！
誰のせいでこんな事になってると思ってんのよ！

あー！
やっぱり大迫ってムカつく！