「てか保健室に寝てるのかな?とか言う前に、見に来れば解決したことなのにさ。」

まあ仕方ない。馬鹿あほ美貴だから考えられなかったのだろう。100歩譲ってやる。


乾いたセーターを物干し竿から取り、着終わって鞄を取りに教室へ向かう。


校庭では運動部の生徒達が活発に部活に励んでいる。それに対して校内は静かだ。生徒は校内にはもうあまり、残っていないのだろう。



コツコツコツ………
─ガラガラッ。


(……。)


「あーっ!おじょ─ガラガラバタン。


「…あたしは多分疲れているんだ。どうやら寝不足らしい。」

「そりゃ大変だお嬢。」


びくっとして振り返ると…あの男。柊 権太。

気付くと超スマイルであたしの後にぴったりと立っている。


(何でいるかな…。)
そんなあたしの心の呟きに答えるようにあははと笑いながら話し出す。

「待ってたんだぜ、お嬢が来んの。あの後どっか走って行くもんだからさーびっくりしちゃったじゃねーか。まぁ俺に抱きしめられたし、心臓が爆発しそうにでもなったんかな?」

「はい、あまりの出来事に心が折れそうになりました生きる希望を失いかけました。」


それだけ言うと男の横をすたすたと通り過ぎ、教室の鞄を取ると帰ろうとした。


─ガシッ。