職員室へと歩いていく健太くん。
僕はこっそりと隣を歩きます。
「……なんで?」
「えっ!?」
僕は健太くんに声をかけられたのかと思ってびっくりしました。
でも、それは健太くんの独り言だったのです。
「なんで皆、僕を名前で呼んでくれないの?」
誰にも聞こえない小さな小さなつぶやきが、隣に居た僕にだけ届きました。
「僕は健太だ。健太なんだよ……」
泣いてしまいそうな微かな声。
健太くんは必死でそれを堪えているように見えました。
「……健太くん。」
職員室に着いた健太くんは集めたノートを先生に渡すと、すぐに出てきました。
すると教室ではない、何処かに向かっていきます。
僕はついていくことにしました。



