「はい、じゃあ今日はここまで。ノート見るから佐藤は皆の集めて職員室まで持ってきてな。」
授業が終わって先生がそう言いました。
「んじゃ、起立。礼。」
チャイムが鳴る少し前に先生は教室を出ていきます。
ざわざわする教室。
「はい、佐藤くんノートよろしくね。」
「……うん。」
女の子に渡されたノートを受け取る健太くん。
「ほい、佐藤。」
「佐藤くんお願い。」
「へい、よろしくー。」
皆が健太くんに集まってきてノートを渡します。
僕は何だか違和感の様なものを感じました。
「ねぇ、涼子次って宿題あったっけ?」
「昨日ね、淳ちゃんと公園でね……」
「おーいタカ、放課後さぁ……」
皆の話し声が教室に響く中、健太くんの声だけが聞こえません。
健太くんは皆から預かったノートを綺麗に整頓すると教室を出ていきました。



