いつも寝ていたベッドの隣に布団が敷いてあって、冷たくなって動かない僕が眠っています。

「冷たい。人形みたいだ……」

僕は自分の身体に触れ、思わずそう口からこぼしていました。

死んでしまった悲しさとかよりも、ただ身体が氷みたいに冷たいことしか頭に浮かびませんでした。

これが、"死"というものなのでしょうか。


コツコツ。

階段を上がってくる音がしたので、僕は身体を見えなくして、息を潜めます。

ガチャ。

「おう、純助。佳代子叔母さんと健三叔父さんが来てくれたぞ。起きろー。」

入ってきたのはお父さんでした。

「……なんてな。起きるわけないんだよな。そうなんだよな?純助ぇ。」

「……父さん。」

僕は初めてお父さんが泣いているのを見ました。

手で顔を覆って、必死に堪えようとして、でも涙がカーペットに染み込んだのが分かりました。

ズズズ。っと鼻をすすって、目を擦ってお父さんはまたリビングへと降りていきました。