〜Rii side〜


 幸い、あたしは1週間程度で退院した。




 ただ、通院は余儀なくされた。




 そして、相変わらず記憶は戻らなかった。




 だけどあの時の…聞いた声は一瞬、そうほんの少しだけ。




 聞き覚えがあると思った……。




 あたしにとって、とても大切な、…大切だった?




 そこで何かがふっ切れた。




「も、やだ・・・」




 もどかしい。何も分からない自分にイライラする。




 ハサミを取り出し、歯先を己に向け、ふと思いとどまった。




――ここで死んではいけない。




 自分にはまだやるべき、知るべきことがある。と……