――・・・。




『おい、頼むから目ぇ覚ませよ』





――誰…?





『なぁ、梨依!』




 梨依って誰・・・?




 さっきから、誰かを呼ぶ声はどこかとても懐かしくて。だけど思い出せなくて。




 分からない…。分かんないよ…。誰なの…?




 あたしはそっと目を開けてみた。そこには見慣れない風景。




「梨依・・・」




 あたしは虚ろなまま、目だけぐるっと動かし、辺りを見回した。




 と言うより、身体が動かなかった。


 

 だから、首から上…目を動かすことしか出来なかったのだ。